2000-01-01から1年間の記事一覧
展覧会場での肖像画や写真を見ての推測であるが、 青春期から青年期のハインリッヒ・フォーゲラーは、芸術家というより繊細かつ 神経質、感情にやや起伏のある文学青年といった印象を受ける。 初期の作品から受ける文学的な憂いは、「ちょっと微熱」状態であ…
先週観た「アンジェラの灰」と同様、子供の豊かな表現力が存分に活かされた作品。 舞台は旧ソ連のタジキスタン。 盲目の少年コルシッドは民族楽器の工房で働いているが、研ぎ澄まされた感性(聴力)がかえって災いしてしまい、美しい音色を聞くと、我を忘れ…
ビートルズの究極のベストアルバム。 個人的には「Song track」のあとは、「Oldies」をぜひ再発させてほしかったけれど、ビートルズ2000年のニューアルバムは、英米でナンバワンヒットになったシングル曲ばかり集めた最強のベストアルバム…と言われている「1…
アラン・パーカー監督の最新作。 舞台は、大恐慌時代の1930年代から第二次大戦前後にかけてのアイルランド南西の町、リムリック。 ニューーヨークから引き上げてきた主人公のフランク・マコートとその両親、兄弟はこの町に移り住むことになる。 来る日も来る…
伊藤若冲という画家を初めて知ったのは、今年の1月に東京国立博物館で開かれた「皇室の名宝」展で「動植綵絵」という鳥や植物を中心とした超細密画のシリーズを見たときだ。そのときの第一印象は、今回の展覧会のキャッチフレーズにもなっているように「こん…
この人にあと20年、せめて10年の命があったらどんな作品を残していただろう。また、その作品が後世の人にどんな影響を与えることになっただろうか…。そんなことを夭折した作家の作品に接するたびに考えてしまう。 ラファエロ・サントス37歳、ピーター・ブリ…
4月に同じ平成館に「日本国宝展」を見に来たときは、平日にもかかわらず本当にすごい人だった。土日だと数時間待ちだったかもしれない。今回も休日は、かなりの人出だろうと予想して平日に出かけた。 僕がなぜこんなに人出を気にするかというのは、典型的な…
「マルコヴィッチの穴」という不思議なタイトルを聞いたときから興味がそそられた。俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に通じる穴を見つけたときから、主人公の悲劇が始まるのだが、冒頭の人形劇から始まって、スッピンで歯並びまで変えたキャメロン・ディ…
今日二つ目の美術展。 ゴッホは世界中で最もたくさんのファンを持つ画家の一人であろう。しかし、僕はこれまでゴッホが少し苦手までいかないが、見ていてちょっと圧倒されすぎるというか、激しすぎて退いてしまうようなところがあった。 アムステルダムへ行…
飯田橋駅から徒歩5分くらい日中友好会館内にある美術館。以前勤めていた会社の取引先がこの建物の中にあったので,一時は足しげく通ったものだが、美術館へは今回が初めてだ。中国第9回全国美術展受賞者の中からの選抜展らしい.。 女性人民解放軍兵士を描いた…
東京都現代美術館はでかい。 しかし予算の問題もあるのか、この器を生かしきった企画がオープン以来少ないのは残念だ。 この空間に負けない作品を作るのも大変だと思うが、コレクションの目玉がリキテンシュタインやウォーホールといった60年代のポップアー…
リドリー・スコット監督の最新作。 まず第一に感じたのは、傑作「ブレードランナー」との類似点だ。 例えばローマ市外を俯瞰で見るシーンは「ブレードランナー」の冒頭シーン、近未来のLAとオーバーラップした。また巨大なコロセウムはピラミッド型のタイレ…
最初にタイトルだけ知ったときから興味がそそられた。 舞台は第二次世界対戦前後のイタリア中部トスカーナ地方。 トスカーナの町々の美しい風景を、イギリス人のちょっとシニカルなユーモアセンスでくるんで、アメリカ人の憎めない滑稽さを少しふりかけたよ…
松涛美術館は、渋谷の東急百貨店から少し入った静かな住宅街にある。 水が流れる音が心地よく、落ち着いた雰囲気でじっくり鑑賞できる。 石井柏亭という画家については、東京国立近代美術館で作品を1点見た ことがあるだけで、ほとんど知らなかったが、偶然…
今年2000年はフェルメールブームだ。 少し前までは日本でフェルメールといえば少しマニアックで、あまり一般的ではなかったのではなかったかと思う。 フェルメール関係の書籍も探すのに苦労したような気がした。 それが去年くらいからどの書店でもフェルメー…