今年2000年はフェルメールブームだ。
少し前までは日本でフェルメールといえば少しマニアックで、
あまり一般的ではなかったのではなかったかと思う。
フェルメール関係の書籍も探すのに苦労したような気がした。
それが去年くらいからどの書店でもフェルメール、フェルメールである。
「数少ない作品を残して夭折した謎の画家」というイメージが、
ここにきて広く定着してきたようだ。
5年くらい前、オランダのデン・ハーグにあるマウリッツハイス美術館で、
フェルメール回顧展を見たときは、アムステルダムから切符を買うために
並んでいる人がみんな口々に「The Hgue!(ヘイグ!)」と叫んでいた。
デン・ハーグの小さな町が万博でも開かれているが如く人で
溢れていたけれど、さすがここ大阪でもフェルメールで盛り上がっていた。
それにしても、ここ大阪で最もディープな天王寺で「真珠の少女」が
また見れるとは…。この意外性がたまらない。
天王寺の大阪市立美術館は、公園の中にあって、動物園があって…
一見すると上野のロケーションににているが、
上野公園の文化・芸術の薫り高き雰囲気に比べると、おっちゃん達が
ごろ寝している以外、天王寺公園はまったく正反対の雰囲気だ。
しかしそんなことは関係なく、なんとなく堂々と構えているところが良い。
しかしこの美術館は、「見たい!」と思う企画がめったになかった。
平成館ができてから、次々と大企画展を成功させている東京国立博物館
とは対照的だ。
それにしても、こんな人がたくさん来ている天王寺美術館を始めて見た。
あと、これだけ国宝級の作品を貸し出してくれたオランダ人の寛容性にも
感動する。
デン・ハーグではフェルメールを見たあとは、美術館の外観を眺めたり、
展覧会特設のカフェでお茶したり、川辺でスケッチしたり、
フェルメールの生まれ過ごしたデルフトまで一足伸ばしたりしたけれど、
大阪でのフェルメール展の後は、美術館の近くで気持ちよさそうに歌う
おっちゃん・おばちゃん主催の歌謡ショーと、ジャンジン横丁での串かつと
ビールが待っていた。身も心もお腹いっぱいで新世界をあとにした…。