今日二つ目の美術展。
ゴッホは世界中で最もたくさんのファンを持つ画家の一人であろう。
しかし、僕はこれまでゴッホが少し苦手までいかないが、
見ていてちょっと圧倒されすぎるというか、激しすぎて退いてしまうような
ところがあった。
アムステルダムへ行ったときも、フェルメールやレンブラントがあまりにも
強烈過ぎて、ゴッホ美術館の印象といえば、エントランスの壁が
少し崩れていたことぐらいであった。
ゴッホ終焉の地オールベル・シュルワースでは、日本語のパンフレットまで
あって興覚めしたわけではないが、その生涯があまりにもドラマティックに
演出過剰されすぎてはいないかという疑念がぬぐいきれなかったのだ。
そして、今回の素描展を見てゴッホは、本当にひたむきな勉強家であった
ことがよくわかった。その純粋なひたむきさには、陰鬱さや、狂気のかけら
もない。絵画に対する崇高な精神性があるのみ。
とにかく前向きで、ある種の「透明感」と「心地よさ」さえ感じられる。
(彼の絵を見ていてこれまで心地よいと感じたことがなかったので…)
水彩やグワッシュ、コンテや木炭、様々な画材を用いて実験を繰り返し
試みている多くの作品からは、「狂気に捕りつかれた孤独な天才」という
イメージはなく、真摯に己の表現を探求する一人の青年画家の姿が
見えてくるようだった。
ゴッホはいろんな色の毛糸を巻いて、毛糸球を作って色彩の相関関係を
学習したと昔聞いたことがあるが、美術アカデミーを数ヶ月で退学して
しまった彼がいかに自分一人で学習し、研究を積み重ね、技術を磨いて
いったことがよくわかった。
年表からみるだけでも生き方がホンマ下手な人みたいだったけど、
彼が孤軍奮闘した画家としての10年間の作品から自分は、もっともっと
真摯に学ばなければいけないと非常に遅まきながら感じさせてもらった。
自分の中で付けた。