「マルコヴィッチの穴」という不思議なタイトルを聞いたときから
興味がそそられた。
俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に通じる穴を見つけたときから、
主人公の悲劇が始まるのだが、冒頭の人形劇から始まって、
スッピンで歯並びまで変えたキャメロン・ディアスの役作りや、
天井の低いオフィスでのシュールな会話のやり取りなど、
マルコヴィッチ本人自身が穴の中に入って「全部マルコヴィッチ」に
なってしまうところあたりまではテンポ良く、心地よかった。
この調子でドタバタの末、「穴」は閉ざされてしまい、
儲けた金もパーとなってチャンチャン!といった感じ…
と勝手に想像していたが、後半の意外とシリアスな展開に、
せっかくの前半のテンポの良さが失われてしまったのが残念…。
ショーン・ペンやブラッド・ピッドがなにげなく登場していたところなどから、
「マーズ・アタック」のような有名スターが次々とバカらしく殺されてゆく
ようなナンセンス・ユーモアを期待していただけにラストはやや出来すぎ?
もうちょっと「なんじゃそりゃ~!?アホかいな!」と思わず叫んでしまう
「だらしない結末」を選択した方が、この映画のアイデアの斬新さを、
もっともっと純粋に抽出することができたのではないだろうか…。