最近、「本が読みたいのに読みたい本に出会えないよ~」
というジレンマに陥っている。
例えば、読みたいと思う本が大きな書店に行けば、
必ず出会えるとは一概に言えない。
書評などの情報があって、目的の本が既に決まっている場合はともかく、
売り場面積が何百平米もあり、各ジャンルごとに何階にも分かれている
大型書店では時に大きな迷路に迷い込んでしまったかのように彷徨い、
時間と労力を費やした割には結局読みたいと思う本に巡り会わなかった…
そんなことが多いものだ。
最近、仕事の帰りに時々立ち寄る千駄木にある「O書店」、
それとは逆に意外な出会いがよくある。
店内をぶらっとひとまわりすると、書棚に「これは読んでみたい」と
思う本がさりげなく置いてあったりするのだ。
町の本屋さんの典型だが、店主は僕よりずっと若くて、
よく勉強しているんだなあと思う。
本を売ることによって自己表現している感じがするのだ。
「いい本と素敵な出会いをしたい」ときは「大型書店」ではなく
このような「いい町の本屋さん」に限る。
なぜか…。
答えはカンタン、本屋もやはり店主のセンスなのである。
大型書店では本をたくさん「置いている」にすぎない。
その大きさゆえにセンスや個性を表現しにくいのかもしれないが、
雑誌や売れ筋の本を平積みにして並べることだけが、
本屋という商いのテクニックではないと思う。
こういう本が今おもしろい、決してベストセラーではないが、
この作家の描いている内容は鋭い…
情報ネットワークを張り巡らすと同時に、狭い売り場面積を逆利用して、
店主の考えや個性を隅々まで反映させる。
商品となる本を自らの目で吟味して、いいと思ったものだけを書棚に並べる。
これって商売の基本のような気もするが、
今まで多くの書店(古書を除く)はそれができていなかったのだ。
町の文化レベルを測るのは大きな美術館やホールの数ではなくて、
こういった「いい町の本屋さん」がどれだけあるか…
結構関係していると思う。