絵描きの記

絵描き 出口アキオの絵画制作と日々考えたこと、見たことの記録です。

不意打ちのレンブラント

昔、「不意打ちのビートルズ」にはよくやられたものだ。

自宅でレコードやCDを聴くときは、パッケージや袋を開けて、

プレーヤーの電源を入れて…

無意識のうちに「これから聴くぞ」という心の準備ができるのだが、

街をぶらぶらしているときなどに、突然"You say Yes , Isay No…"などと

急に来られると、「おっと不意打ちを喰わされた~!」という感じで

いつもより「うるうる…」きてしまうのだ。

はじめて川村記念美術館へ行った。

広大な敷地に緑と池と噴水…

美術館の入口付近には巨大なフランク・ステラの彫刻がある。

「モネ展」は人気作家だけにあって大盛況。

それにしても、晩年のモネは本当に凄まじい…。

よく見えなくなってきて、審美眼の方は冴えまくっている。

彼の作風は、印象派とかフォービズムとかジャンルには全く収まらない。

池に写ったしだれ柳は地獄の釜風呂のごとく沸々と沸き上がっているようだ。

その遙か上方にUFOのような睡蓮が浮遊している。

う~ん…これは横尾忠則画伯も真っ青だ…。

そんな企画展のコーナーを見終えて、常設展のおしまいあたりで

なんとレンブラント作「広つば帽を被った男」がドドーンとあったのだ。

これは完全に不意打ちだった。

今日はモネを見るために気持ちの準備はしておいたのだが、

レンブラントの、しかもこんなにいけてる肖像画を見るための

心の準備はしていなかったのだ…。

この時点で、モネとレンブラントの間にあったロスコやウオーホール、

ジャクソン・ポロックたちは異次元の彼方へ飛んでいってしまった。

今回は、以前務めていた会社の先輩に車で連れてきてもらったのだが、

もし運転できたら、けっこう頻繁に通いたい美術館だなあ…。