様々な作風の作品があって楽しかった。
しかし、次々と作品に接していくうちにある種の共通点、スタイルも見えてきた。
団体展なので当然かもしれないけど…。
部屋の隅っこや、二段掛けの上段で注意していないと見過ごしてしまいそうな位置
に展示されている作品に妙に惹きつけられたり、反対に、勉強不足の僕でも名前
や作品を知っている大先生の作品が案外つまらなかったり…
そんなところも意外性の連続で興味深かった。
また、このような団体展では先生の作風を影響を色濃く反映した作品も数多い。
美術に関してかなり目が肥えていると見える奥様二人組み曰く、
「ねえ、これって完全に島田章三よ!顔のデフォルメとかそっくりじゃない…」
手厳しい批評だが、こんな意見はよく耳にする。
しかし、僕はこのような現代の「カラヴァッジェスキ」の作品が決して嫌いではない。
逆に、若いときから「芸術における独創性」を何よりも美徳とし、「オリジナリティ」に
こだわるあまりに、本当の自分を見失ってしまっている作品群に比べたら、
ずっと好感が持てる。尊敬する先生や団体の先輩の作品に少しでも近づきたくて、
作風がそっくりになってしまうのは、ごくあたりまえのことである。
美術や音楽、書道でも、素晴らしいお手本を模倣することから始まる。
僕などは島田章三風に描けと言われても技術的に未熟で絶対に描けない。
尊敬する師や目標があって、創作できることは素晴らしいことだし、
実にうらやましい限りだ。
エントランスから続く地下の展示室を1時間近くかけてじっくり鑑賞した。
自分の好きな作品ベストテンを決めて、さあ出ようと思ったら、2階、3階へさらに
展示が続いていて、まだまだ膨大な数の作品があった。
集中力を最初のフロアで使い果たしてしまったので、後の展示室は「新鮮な目」で
見れなかったのは少し残念…。
「聖徳太子展」は、また今度にすることにした。
本日の結論
「東京都美術館は、相当でかい!!」