今日、スケッチのあと、不忍池でカモ君たちにパンをあげていたら、
近くのベンチに座っていたおっちゃん(布団や身のまわりのものなどを
横に置いていた)と、チャリで通りかかった別のおっちゃん
(たぶん仕事も家庭もちゃんとした人の休日だろうか、
マウンテンバイクに乗っていた)がちょっと言い争っていた。
チャリのおっちゃん曰く、
「ここはみんなの公園なので、あんたひとりがベンチを占領するのはおかしい」
それに対しベンチのおっちゃんは、「俺はここに座っていただけなのに、
なんでお前にそんなことを言われなければならないのか。
それよりも人にものを言うときは、自転車に跨って相手を見下げたままでなく、
降りてきてきちっと目線をあわせて話せ」と言い返した。
最初は調子よく自らの正論をふりかざし、
一気にまくし立てていたチャリのおっちゃんは、
最後には逆にベンチのおっちゃんに言い負かされて、すごすごと去っていった。
確かに公園は市民の憩いのスペース、休日には誰もが気持ちよく利用したい。
しかし、公園はその名の通りパブリックなものだから、
社会や時代の縮図のような光景も窺える。
そして、緊急時には市民の避難場所としての役割もあるのだ。
緊急時とはなにも災害や戦争だけではないはずである。
今の日本の社会を見渡していたら決して平常時とは思えない。
ベンチのおっちゃんもこの寒空に好き好んで座っていたのではないだろう。
正当性を装い、自ら市民の代表的な口ぶりで社会のモラルを説きながらも、
実は人を外見だけしか判断せず、傲慢な態度で見下げてかかってくる…
こんなチャリのおっちゃんたいなタイプは、
経済力や社会的身分もしっかりしている人の中にも結構多い。
チャリのおっちゃんが去った後、
ベンチのおっちゃんは、再び池の水鳥たちを静かに眺めていた。